top of page

2)太陽電池の設置面積はどのくらい必要か?

―全世界の砂漠のわずか4%で十分―

 筆者らが当時、計算した結果を表1に示す。西暦2010年の全世界の1次エネルギー消費量は、原油換算で約140億kℓ /年になると予測された(現在のその値は29年前に予測した値に近い水準になっている)。これをシステム変換効率10 %の太陽光発電システムで賄うとすると、その必要面積は約800km×800kmになる。つまり東京―広島間を正方形にした面積で十分なのである。

 それは全世界の砂漠の面積の4%にすぎない。一次エネルギーとは電力やその他の人類が消費する全てのエネルギーを意味する。また10%の太陽光発電システムの変換効率は20年前には到達してなかったが、現在はすでに実現している。

ジェネシス計画面積計算表.png

3)3つのステップで実現

 この計画を実現することはそれほど非現実的ではなく、図2に示すような以下の3つのステップにより実現可能と当時、提案した。

第1ステップ

先ず、各家庭や工場等の屋根に太陽光発電システムを設置し、電力系統に接続していく。それにより国全体が太陽光発電を利用した電力網によってネットワーク化される。日本では約200万戸の太陽光発電住宅が実現している。ヨーロッパ、米国をはじめ多くの国でこの動きはすでに開始され、加速している。これにより各国に太陽光発電のネットワークができつつある。

第2ステップ

次に中規模、大規模太陽光発電所を空き地に建設する。そして各国の送電線を接続する。そうすれば多国間ネットワークができる。ヨーロッパや米国ではすでに大陸内での送電網は結合されている。

第3ステップ

世界の砂漠に大規模な太陽光発電所を国際的協力で建設する。これを送電線で結び多国間ネットワークへ大きく拡げていけば、グローバルネットワークができる。この計画が21世紀の中頃までに実現されれば、人類はエネルギー問題から解放されるであろう。このために、太陽光発電が果たす役割は極めて大きいと言える

表1.人類のエネルギー消費の歴史と予測 
  出典:国連調査(World Population Prospects 1990、Energy 
            Statics Yearbook)等による
ジェネシス3ステップ.png
図2.GENESIS計画の実現に向けの3ステップ

―超伝導分野でブレイクスルーが起きる―

 そのような状況にある中で、1986年にIBMのチューリッヒ研究所のベドノルツらがランタンバリウム銅の酸化物(La-Ba-Cu-O)系材料において液体窒素温度(マイナス196℃:77K)で超伝導が起こることを発見した。従来の超伝導は液体ヘリウム温度(マイナス269℃:4K)付近の極低温で超伝導が起こっていた。液体ヘリウム温度での超伝導の実用化は難しいが、液体窒素温度での実用化なら十分実現可能であると考えられたからである。当時、大変評判になった。

4)ジェネシス計画は気宇壮大ではあるが夢物語では?

 1989年の国際会議でのジェネシス計画の発表の後、多くのマスコミはジェネシス計画について‘気宇壮大’ではあるが夢物語ではと評した。そこで、前項で述べた3ステップを考えた。つまり個人住宅の設置した太陽光発電システムを系統に連系して、次々に拡大する方式である。1989年当時は、まだ住宅での太陽光発電の系統連系が実現してない時代であった。

 

―自宅での系統連系はジェネシス計画の実現の一歩―

一般の住宅で電力会社の電力系統に太陽光発電システムを接続しての売電制度の確立はジェネシス計画の実現には不可欠である。多くの人達と努力してジェネシス計画を発表した年の3年後、1992年(29年前)の春に、日本の電力会社の英断で太陽光発電システムを接続して売電できる制度が創設された。そこで筆者は最初の系統連系した太陽光発電住宅は太陽光発電発電を研究開発してきた人が実証的に設置する方が、何か問題が起こってもすぐ対処できると考えた。

仲間の協力を得て1992年の7月に初めて自宅に電力会社の送電線に系統連系された桑野太陽光発電システムを設置した。つまり、ジェネシス計画の第一歩が始まったのである。この住宅での太陽光発電システムは29年経った現在も順調に毎日発電して、余った電気は電力会社に売っている。別記載のように20周年、25周年記念式典を行った。次の2022年には、この太陽光発電システムを設置するのに協力してくれた人に集まってもらい、盛大な30周年お祝い会を開き、乾杯をしたいと思っている。

© 1992 by Yukinori Kuwano. Proudly created with Wix.com

bottom of page